★☆★★☆★ 6月19日の 『キノコレ』 ★☆★★☆★
「キノコレ」は、毎月・第1&第3水曜の13:45〜『grace』の中でお送りしています。
今週は、紀伊國屋書店富山店 奥野晃英さん からオススメの本&フェアをご紹介いただきます。
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百花
本日ご紹介する書籍は、川村元気さんの新作『百花』です。
音楽会社で働く主人公の泉。
ある年末に、母、百合子の元へと帰省します。
元旦は百合子の誕生日。
それは、母一人子一人の母子家庭の親子が、毎年繰り返してきた光景でした。
-私の誕生日は誰も忘れないけど、いつも忘れられるのよ
そんな冗談を交わしつつ、暖かい時間が流れる室内。
百合子にはまだ告げていませんが、
泉には社内結婚の妻香織との間に初めての子供も授かり、本当に幸せな元旦を迎えたのです。
しかし、百合子の行動に奇妙な点がポツリポツリと現れ出したのはそれから間も無くの事でした。
伝えたはずの子供の事を忘れる。
支払いをせず店から出ようとする。
キッチンの食材が手付かずで痛んでいる。
彼女は認知症にかかり始めていたのです。
息子のことを忘れていく百合子。
泉はそんな母に戸惑いながらも懸命に寄り添おうとします。
その中で泉は逆に母との思い出、今まで忘れていた大切な思い出を思い出し、
そして、二人には決して忘れることが出来ない「ある事件」へと思いを馳せる事になります。
泉の百合子に対する行動や感情が全て正しいのかは分かりません。
しかし、大切な人のことを必死で知ろう、思い出そうとする彼の姿は
これから迎える時代でとても大切な事なのではないかと、私は読んで思いました。
川村元気さんが描く、愛と記憶の物語『百花』は、
当店文芸書エンド台で展開しております。是非ご覧下さいませ。
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<紀伊國屋書店富山店からのお知らせ>
夏の文庫フェア
続きまして、紀伊國屋書店富山店で行われているフェアの紹介です。
6月も半ばを過ぎ、もう少しで本格的な夏のシーズンを迎えます。
そして、夏と言えば出版社さんの『夏の文庫』フェアが今年もやって参ります。
現在、中央のイベントスペースでKADOKAWAの夏の文庫フェアが展開されたのを皮切りに、
今後は集英社、新潮社と展開されていきます。
どれも各出版社さんが今年の夏に一押しの作品ばかりです。是非、ご覧下さいませ。
皆様のご来店をスタッフ一同心よりお待ち申し上げております。
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紀伊国屋書店富山店
住所: 富山市総曲輪、総曲輪フェリオ7F
電話番号: 076-491-7031
営業時間: 10:00〜20:00
店休日: 6月は無し
HP http://www.kinokuniya.co.jp/store/Toyama-Store/
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