★☆★★☆★ 10月9日の 『キノコレ』 ★☆★★☆★
「キノコレ」は、毎月・第1&第3水曜の13:45〜『grace』の中でお送りしています。
今週は、紀伊國屋書店富山店 奥野晃英さん からオススメの本をご紹介いただきます。
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落日
本日ご紹介する書籍は、湊かなえさんの新作ミステリー長編『落日』です。
-思い出すのは、あの子の白い手。
-忘れられないのは、その指先の温度、感触、交わした心。
過去に思いを馳せる女性の独白から、物語は始まります。
淡々と語られる辛い過去の中で救いとなったのが、
罰として出されたベランダで見た誰ともしれぬ「小さな白い手」でした。
しかし、その救いもまたさらなる悲劇によって、彼女の手からこぼれ落ちていくのでした。
時は流れ、舞台は変わり、東京。
無名の脚本家、甲斐千尋の元に、
新進気鋭の映画監督、長谷部香から新作の脚本について相談したいというメールが届きます。
訝しみながらも突然のチャンスに浮かれる千尋でしたが、
香が告げたのは、
-『笹塚町一家殺害事件』
-次の作品はこの事件を取り上げたいと思っているの
15年前に起きた判決も確定している事件を手がけたいという香の言葉でした。
そして、笹塚町は千尋の生まれ故郷。
-笹塚町を知る人間に会いたかったのだ。
落胆する千尋を余所に香は鬼気迫るかのように質問を投げかけますが、
そんな雰囲気で会話が上手くいくはずも無く、この場は物別れとなります。
大きなチャンスを逃した事を後悔する千尋でしたが、ここから物語は動き始めます。
香は何故この事件を撮りたいのか。
のどかな地方都市で起こった陰惨な事件に潜むものは一体何なのか。
そして、主人公、千尋はそれにどう向き合うのか。
随所に散りばめられた伏線が本当に見事で
何度もページを行ったり来たりするのですが、
それを繰り返してたどり着くラストで、ふっと救われた気持ちになる名作です。
湊かなえさんが描く、絶望の深淵を見た人々の祈りと再生の物語『落日』は、
当店文学エンド台で展開しておりますので、是非ご覧ください。
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<紀伊國屋書店富山店からのお知らせ>
2020年手帳・日記フェア
ただ今、紀伊國屋書店富山店では、
来年2020年の手帳・日記を中央イベントスペースにて大展開しております。
是非、ご覧ください。
そして、手帳と言えば、毎年大変ご好評を頂いております
「富山県民手帳」は、10月25日の発売です。
こちらはご予約を承っておりますので、お近くのスタッフにお申し付けください。
また、カレンダーは今週の土曜日、10月12日から、
同じく中央のイベントスペースにて展開する予定です。
こちらは、もう少々お待ち下さい。
皆様のご来店をスタッフ一同心よりお待ち申し上げております。
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紀伊国屋書店富山店
住所: 富山市総曲輪、総曲輪フェリオ7F
電話番号: 076-491-7031
営業時間: 10:00〜20:00
店休日: 10月は無し
HP http://www.kinokuniya.co.jp/store/Toyama-Store/
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