★☆★★☆★ 11月20日の 『キノコレ』 ★☆★★☆★
「キノコレ」は、毎月・第1&第3水曜の13:45〜『grace』の中でお送りしています。
今週は、紀伊國屋書店富山店 奥野晃英さん からオススメの本とフェアをご紹介いただきます。
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本日ご紹介する書籍は、藤井聡子さんの富山を舞台としたエッセイ
『どこにでもあるどこかになる前に』でございます。
まず目を引くのは、車窓を思わせるカバーに開いた穴から覗く、富山駅のホームの写真。
そして、カバーをめくると懐かしい過去の富山の写真たち。
本作を執筆した藤井聡子さんは、富山のご出身。
東京で雑誌編集者として働いた後に、富山へUターン。
その後「ピストン藤井」のペンネームで
富山ならではの場所や人を探るライター活動を始め、
2013年にはミニコミ誌「文藝逡巡 別冊郷土バカ一代」を刊行するなど、
精力的な活動を行なっております。
一度は、夢を追い、都会に憧れ郷里を飛び出した藤井さん。
しかし、6年を経て、夢破れ2008年に帰郷。
そこで目に飛び込んできたのは、富山の代名詞でした。
-どんなに町や人が変わっても、立山はビクともしない。
-2008年春、私が東京から実家に戻ってきた日も、
-当たり前のように立山はそこにいた。
県外に出て戻ってきた時に、富山の人ならこの感慨を感じた事があるのではないでしょうか。
しかし、待っていたのは藤井さんを暖かく迎えてくれる
「ほっこり」とした「田舎の富山」、ではなく、様々なリアルな「富山」でした。
親身になってくれてるんだけど、どうも「普通」という規範に当てはめようとする「閉鎖性」。
再開発が進む中で、デジャヴを感じるような風景が増えていく「個性の喪失」等々。
帰ってきた当初は、東京から帰ってきた人間だからこそ、
富山の魅力を再発見できるに違いない!と意気込んでいた藤井さん。
しかしその考え方は、本書で出会う「富山人」たちとの交流、ぶつかり合いを経て段々と変化をして行きます。
明るい文体と藤井さんのバイタリティに溢れる文章で
一気に読んだ後に、タイトル「どこにでもあるどこかになる前に」に考えさせられます。
藤井さんが帰ってきた約10年前から現在2019年までに、私たちは何を失って何を得たのかなと。
富山で生活している人にこそ、笑って、懐かしんで、そして、考えていただきたいこと満載の一冊
『どこにでもあるどこかになる前に』は、当店エスカレーター前新刊台にて展開しております。
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<紀伊國屋書店富山店からのお知らせ>
続きまして、紀伊國屋書店富山店でただ今開催しているフェアの紹介です。
クリスマス絵本フェア
早いもので、2019年も一ヶ月と10日余りを残すのみとなりました。
そうなると聞こえてくるのは、クリスマスの足音。
紀伊国屋書店富山店では、ただ今洋書コーナーにて「クリスマス絵本」フェアを開催しています。
スヌーピーやウォーリーのようなキャラクター作品からオリジナル作品まで
プレゼントに最適な可愛い洋書絵本を取り揃えております。
フェアは12月25日(水) のクリスマスまでです。
皆様のご来店をスタッフ一同心よりお待ち申し上げております。
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紀伊国屋書店富山店
住所: 富山市総曲輪、総曲輪フェリオ7F
電話番号: 076-491-7031
営業時間: 10:00〜20:00
店休日: 11月は無し
HP http://www.kinokuniya.co.jp/store/Toyama-Store/
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